私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
そう言えば、数日前、風磨家の者が赤鬼を倒し損ねたと撫子の父親が言っていた。
二角の鬼で目が金色と聞いているが、風磨家の当主はその時に深手を負ったらしい。
多分、この妖のことだろう。
目が金色に輝いている。
妖は大きく分けると上級と下級のふたつがあって、人に化けられる者は上級とされている。
その上級の妖の中でも鬼は頂点に立つ存在で赤鬼、青鬼、黒鬼の三種類いて、階級があり、一角はそれぞれの鬼の親分で一匹ずつしかいない。二角はその子分になるのだが、目が金色の二角の鬼は特別で、次の一角になる。次の頭の意味で『次頭』と呼ばれ、一角に次ぐ力を有するそうだ。鬼は古くから特殊な術を使って多くの人間を殺めてきた。
昔、天月家の当主が三匹の一角の鬼を湖と海と山に封印した。
湖には赤鬼、海には青鬼、そして山には黒鬼が封じ込められている。
それ以後、鬼は大人しくなって、人間の世界に現れなくなったのだが、赤鬼……しかも次頭が目の前にいる。
確かあの猫の妖によれば、名前は紅羅といったっけ。
< 30 / 241 >

この作品をシェア

pagetop