私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
「尊、あ、妖が……いたの。春乃や他の人は?」
自分よりも人の心配をする彼女の優しさに呆れずにはいられない。
「大丈夫ですよ。妖も倒しました。もっと自分の心配をしてください。あなたは重傷ですよ」
「……そう。みんなが無事でよかった。尊、ありが……とう」
いつも反抗的な態度を取っているのに、今は素直。
それだけ弱っているということだ。
「しばらく寝ててください」
俺が彼女の頭を撫でてそう言うと、彼女は
安心したように小さく頷いて目を閉じた。
俺の腕の中で眠る彼女を見て安堵する。
撫子のそばにいるようになってから、彼女の心配ばかりしているな。
いつも大人しくしてくれなくて、勝手な行動ばかりするからこっちはハラハラしっ放し。
だが、閉じ込めておくわけにはいかない。
その辛さは俺が一番よく知っている。
「姉ちゃん大丈夫なの?」
猫の妖は撫子の寝顔をじっと見ながら俺に問う。
「ああ。今は寝てるだけだ。血を奪われたから身体が弱ってる」
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