私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
「撫子をすぐに連れて帰りたいので、後始末をお願いします」
なるべく水以外の術は使わないようにした。
訳あって俺の存在が他の妖や四大宗家に知られてはいけないから。
俺の言葉に是清さんと秋さんは背筋を正して返事をする。
「仰せのままに」
「あのう、えーと、姉ちゃん大丈夫みたいだし、おいらは行くね」
猫の妖が俺に遠慮がちに声をかけくる。
本当に人間みたいな妖だな。
「待て」
猫の妖に首根っこを掴むと、妖は呆気に取られた顔をした。
「え?」
「是清さん、この妖、水瀬家に置いてやってくれませんか?撫子の治癒を受けたので放っておくわけにもいかないのです」
撫子の治癒能力が妖にバレるのはマズい。
特に蘇りの術が使えると知られたら、いろんな妖に狙われる。
是清さんに猫の妖のことをお願いすると、彼は特に反対せず、俺に一任した。
「はい。その妖の処遇は、尊さまにお任せします」
「え?あの……ちょっと……勝手に決めないでくれよ!」
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