私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
「私、ちゃんとひとりでも生きていけるわ」
ムスッとして反論する私に彼は冷ややかに突っ込んだ。
「今日死にそうになったのは誰でしたっけ?一生おそばにおりますので、覚悟してください」
「一生って……私がお嫁に行ってもついてくるつもり?」
ギョッとして聞き返したら、尊は冷淡に返す。
「その体たらくで嫁の貰い手が見つかるとは思えませんが」
「あ〜、言ったわねえ!私、絶対にお嫁に行くわ!」
声を大にして宣言する私を彼はどこか楽しげに見る。
「お嬢さまの晴れの日が来ることを楽しみにしておりますよ」
フッと笑みを浮かべるこの男を見てムッとした。
全く信じていない。
行かず後家になると決めつけてるわね。
「見てなさい。いつか尊が驚くくらい綺麗な花嫁姿を披露してみせるんだから」
「はいはい。もういいから、寝てください」
尊は軽くあしらって、私に布団をかける。
じっとりと彼を見ると、からかわれた。
「眠れないなら子守唄でも歌いましょうか?」
< 49 / 241 >

この作品をシェア

pagetop