私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
「うん。尊のお陰で怪我はないわ。でも、尊の頬から血が」
少しだけ彼の頬から血が出ていて治癒の術を使おうとしたら手を掴まれた。
「撫子お嬢さま、ダメですよ」
その真剣な声にゴクッと息を飲んだ。
「……ごめんなさい」
治せるのに治しちゃいけない。
だったらこんな力ない方がよかったな。
落ち込む私の頬に手を当て彼は優しい目で告げた。
「心配しなくても大丈夫ですよ。こんな傷すぐに治ります」
彼も私のことを思って注意してくれているのはわかっている。
だから、私が心配しないように彼なりに気を使っているのだ。
「後でお薬塗ってあげる」
気を取り直して言うと、「塗りすぎないでくださいね」と彼は小さく微笑んだ。
「それにしてもさっきの風凄かったな。せっかく桜満開で綺麗だったのに」
桜の花びらがたくさん散り、ゴザの上も重箱や団子が転がっているのを見て、琥珀くんが残念そうな顔をする。
「本当。嫌な風ですね」
少しだけ彼の頬から血が出ていて治癒の術を使おうとしたら手を掴まれた。
「撫子お嬢さま、ダメですよ」
その真剣な声にゴクッと息を飲んだ。
「……ごめんなさい」
治せるのに治しちゃいけない。
だったらこんな力ない方がよかったな。
落ち込む私の頬に手を当て彼は優しい目で告げた。
「心配しなくても大丈夫ですよ。こんな傷すぐに治ります」
彼も私のことを思って注意してくれているのはわかっている。
だから、私が心配しないように彼なりに気を使っているのだ。
「後でお薬塗ってあげる」
気を取り直して言うと、「塗りすぎないでくださいね」と彼は小さく微笑んだ。
「それにしてもさっきの風凄かったな。せっかく桜満開で綺麗だったのに」
桜の花びらがたくさん散り、ゴザの上も重箱や団子が転がっているのを見て、琥珀くんが残念そうな顔をする。
「本当。嫌な風ですね」