私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
「み、み、尊……お仕置きって何?私は被害者だよ」
「私はちゃん注意しましたよね。露天風呂には入らないでくださいと」
「でも……それは風が強いからって……あっ、風⁉︎」
尊が風と言ったのはたとえで風磨隼人のことだったのか。
きっと花見の時からその存在に気づいていたのだろう。
「その顔、やっと自分が間抜けだと気がついたようですね」
その不機嫌そうな声を聞いて身体が震え上がった。
「あの……その……ごめん……」
あたふたしながら謝るが、周囲の空気が張り詰めてうまく声にならなかった。
「赤鬼の件で反省したかと思えば。どうしたらあなたは言うことを聞くのでしょうね」
いつもの呆れた言い方ではなかった。
怒気を含んだその声に身体が固まる。
まるで金縛りにあったかのようだ。
「私が結界を張っていなければ、あなたは襲われていましたよ」
尊が私の胸に触れてきて目を大きく見開いた。
心臓がバクバクしている。
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