私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
5、風磨家の次期当主 ー 尊side
「ねえ、なんで部屋で待たずに浴場の前で待つんだ?執事の心得ってやつ?」
撫子と浴場の前で別れてそばに置いてあった長椅子に腰を下ろすと、琥珀は暇そうに空中回転しながら聞いてきた。
「何かあった時のためですよ」
フッと笑って答えるが、内心花見の時の突風が気になっていた。
あれは自然の風ではない。
妖かそれとも……。
じっと空を見据えて考えていたら、回転するのに飽きたのか琥珀が長椅子にゴロンと寝そべった。
「あ〜、姉ちゃんと一緒にお風呂入りたかったな」
本当に子供なら許してやったかもしれないが、五百歳近い妖との入浴は認められない。
「後で私と入ればいいでしょう?」
相手をするのが面倒で懐中時計を見ながら適当にあしらうが、琥珀は諦めが悪かった。
「尊と入るより、姉ちゃんと入る方が楽しそうだし、姉ちゃんの裸見てみたい」
無邪気に笑って言うが、こっちは笑えない。
「琥珀の中身はスケベじいさんですね。変な想像をしないように」
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