私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
「それは変な男ばっかり寄ってくるからですよ」
「尊ほどではないにしても、なかなかいい男もいたのになあ。恩人とか言ってるけど、ずっとそばにいるのは姉ちゃんを誰にも渡したくないからじゃないの?」
「……お前、撫子のことずっと前から知ってたのか?」
琥珀の発言に驚き、懐中時計をしまって彼をまじまじと見た。
「妖退治で有名な水瀬家のお嬢さんだし、姉ちゃんはその姿も魂もキラキラ輝いているからね。おいらの話はいいんだよ。尊は姉ちゃん嫁にやる気はないよねって聞いてんの」
「何が言いたいのかわからない」
「おいらも尊がわからないなあ。キスで治療なんて好きじゃないとやらないだろ?好きなら自分のものにしちゃえばいいのに……あっ、尊ひょっとして自分の気持ちに気づいていない?」
矢継ぎ早に話す彼をいつもなら一喝するところだが、今回はある言葉に衝撃を受け固まった。
「俺が……撫子を好き?」
第三者に言われて初めて気づく。
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