私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
尊が立てるお茶はまろやかで美味しい。
それに立て方もとても美しくて本人には絶対に言わないが見惚れてしまう。
私も彼のようにうまく立てられるようになりたい。
「では、朝食を食べに行きましょう」
尊と一緒に食堂に向かうと、六人掛けのテーブルの一番奥に父が、左側には兄が座っていて何やら深刻そうな顔で話をしていた。
灰色の背広姿の父が、私に気づいて頬を緩める。
「おはよう、撫子」
今年五十で白髪も増えてきた父は水瀬是清という。柔和な面差しで、性格も優しいが、日本でも有名な貿易商。
だが、それは表向きの家業。うちは古の時代から妖を退治してきた家系だ。
妖は人を殺め、人の血を啜って力を得る。
水瀬家は妖を退治する四大宗家のひとつで、水の術を使ってそんな妖を倒してきた。
妖の存在を知るのは、四大宗家などの一部の人間だけ。
父も兄も水を自由に操れるが、残念なことに私にはその才能はない。
四大宗家は水瀬家の他に、火の不知火家、風の風磨家、土の土森家があって、月に一度それぞれの当主が集まって話をするらしい。
それに立て方もとても美しくて本人には絶対に言わないが見惚れてしまう。
私も彼のようにうまく立てられるようになりたい。
「では、朝食を食べに行きましょう」
尊と一緒に食堂に向かうと、六人掛けのテーブルの一番奥に父が、左側には兄が座っていて何やら深刻そうな顔で話をしていた。
灰色の背広姿の父が、私に気づいて頬を緩める。
「おはよう、撫子」
今年五十で白髪も増えてきた父は水瀬是清という。柔和な面差しで、性格も優しいが、日本でも有名な貿易商。
だが、それは表向きの家業。うちは古の時代から妖を退治してきた家系だ。
妖は人を殺め、人の血を啜って力を得る。
水瀬家は妖を退治する四大宗家のひとつで、水の術を使ってそんな妖を倒してきた。
妖の存在を知るのは、四大宗家などの一部の人間だけ。
父も兄も水を自由に操れるが、残念なことに私にはその才能はない。
四大宗家は水瀬家の他に、火の不知火家、風の風磨家、土の土森家があって、月に一度それぞれの当主が集まって話をするらしい。