私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
「妖飼うなんて反則〜!」
風磨の若造が顔面蒼白になりながら叫ぶが、琥珀は構わず囲いを飛び越えてこの場から消えた。
まあ妖を飼っているなんて宗家でも水瀬家くらいだろう。
風磨家の若造が驚くのも無理はない。
「次に撫子お嬢さまに触れたら、八つ裂きにしてやりますよ」
フッと笑みを浮かべこの場にいない風磨隼人に告げた。
これで不届き者はいなくなった。
次は撫子にお灸を据えなければ。
露天風呂には入るなと注意していたのに、守らないからこういう事態になる。
「さあて、邪魔者はいなくなりました。お仕置きタイムといきますか?」
撫子に目を向け、にっこりと微笑む。
今、彼女は手拭いで前を隠してはいるが、ほとんど裸だ。
その姿を風磨家の若造に見られらのだ。
ドス黒い感情が腹の底から沸き上がってくる。
しかも、結界が発動したということは、あいつが撫子に触れたということ。
……許せない。
風磨隼人のお仕置きは後でやるが、まずは撫子に言い聞かせなくてはいけない。
< 90 / 241 >

この作品をシェア

pagetop