私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
自分の無鉄砲な行動であいつに襲われそうになっていたことを。
「み、み、尊……お仕置きって何?私は被害者だよ」
俺の怒りが伝わったのか、彼女は強張った顔で反論した。
「私はちゃん注意しましたよね。露天風呂には入らないでくださいと」
怒りからかついついキツい言い方になる。
だが、俺の忠告を破った彼女がいけない。
「でも……それは風が強いからって……あっ、風⁉︎」
俺に言い返そうとして彼女は声を上げた。
「その顔、やっと自分が間抜けだと気がついたようですね」
彼女の辞書には恐らく【用心】という文字はない。
俺もそばで守っていても、それで充分ではない。
彼女にも危険を認識してもらわなければ困る。
冷ややかに言えば、彼女は狼狽えながら謝った。
「あの……その……ごめん……」
いつもならそのくらいで許しただろうが、赤鬼の事件があったすぐ後でまたこれだ。
全然懲りていない。
「赤鬼の件で反省したかと思えば。どうしたらあなたは言うことを聞くのでしょうね」
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