私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
何度言っても俺の忠告は無視。
優しくしてもこの無鉄砲なお嬢さんは余計自由に動き回るだけ。
いつもどれだけ俺がハラハラしているか彼女は知らない。
どうすれば大人しくしてくれる?
自分の感情が激しく乱れているのがわかる。
だが、怒りを抑えられない。
撫子も俺が本気で怒っているのがわかっているからか、何も言葉を返さない。
その綺麗な瞳は震えていた。
水に濡れて、裸の彼女。
その姿がどんなに男を欲情させるのか、彼女は気づいていない。
知らないというのも罪だ。
「私が結界を張っていなければ、あなたは襲われていましたよ」
手拭い越しに彼女の胸に触れる。
その鼓動が手に伝わって来て、ドキッとした。
直接素肌に触れていないが、その柔らかな感触にオスの本能が目覚める。
今、凄くこの女が欲しい。
「尊……冗談はやめ……んん⁉︎」
撫子が俺の目を見てそう訴えるが、「黙って」という代わりに、彼女の口を俺の唇で塞いだ。
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