私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
シミひとつない透き通るような白い肌。
白桃のように瑞々しい胸。
露天風呂ではそんなに視覚的な刺激はなかったが、脱衣所には灯りがついていて見ないようにしても彼女の裸が目に映るし、見なければ着替えさせることができない。
おまけに彼女への気持ちを自覚したばかり。
俺にとってこれは拷問だ。
必要以上に触れないようにして着替えを終えると、二階の寝所に彼女を運ぶ。
和室に敷かれている布団に撫子を寝かし、そっと布団をかける。
撫子へお仕置きするつもりが自分を苦しめることになろうとは。
裸の自分に俺が浴衣を着せたと知ったらまた彼女は失神しそうだ。
「ホント、俺を困らせないでくれ」
懇願するように言うと、彼女の額に口付けた。
唇にしなかったのは、撫子にもっと触れたくなるから。
まだ俺にはやることが残っている。
彼女から離れて寝所を出ると、表玄関に行って外へ出た。
目の前の松の大木に風磨家の若造が縛り付けられていて奴と目が合った。
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