HONEYBEE(2)~ハイスぺ社長と二度目のウエディングベル~
理想の家庭像

充斗side~

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「何だ?その助手席に置いてあるお寿司は…」


「社長の為に買ってきました…」

「はぁ?俺はさっき…江戸前寿司を食べて来たとこだ…大体、それは回転寿司だろ?レーンの回ってるお寿司なんて…新鮮さに欠ける…」

「そんな寿司でも…満面の笑みを浮かべて…食べる女の子居るんですよ…」

「女の子?」

「こっちの話です…」

「・・・その子がお前の娘とかさなったのか?柏原」

「えぇ―まぁ…」

「・・・生きていれば…七歳ぐらいか?」

「そうですね…」

時折、無造作に射し込んで来る対向車のライトの明かり。

柏原には生まれつき重い心臓病の娘が居た。アメリカで心臓移植の手術を受けたが、副反応であえなく亡くなってしまった。

その後、奥さんとは離婚。

今は独身だった。
柏原は階段から突き落としたのは自分だと俺が気づいていないと思ってるが。
俺は気づいていた。

全ては娘の高額な手術費用の為。

父に手術費用を出してやるとそそのかされ、彼は土壇場で俺と葵を裏切った。


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