HONEYBEE(2)~ハイスぺ社長と二度目のウエディングベル~
「いえ、ハンカチは結構です」
私はやんわりと彼の差し出されたハンカチを拒んだ。

「宇佐美社長…施設内を案内致します」

楠支配人に促され、充斗達はぞろぞろとオフィスを出て、施設内へと行ってしまった。

緊張に包まれていたバックオフィス内。
皆、充斗達を笑顔で見送った後はフーッと安堵の息を漏らした。

「宇佐美社長…いつ見ても…素敵ですね…」

飛ぶ鳥を落とす勢いで業績を伸ばす『フロンティアカンパニー』
経済誌でも彼の活躍を特集にするほど。

今日、充斗がウチに来ることを知って、この間借りたハンカチとお礼の手作りクッキーを内緒で持って来た。

あれだけの団体さんで来たんじゃ…充斗本人に直接手渡しは出来ないな…

隣に居た柏原さんに頼もうか…

私は『らく寿司』で偶然会った時、柏原さんの連絡先を訊いた。

『何かあれば…俺に相談してください』と。

彼の裏切りで私と充斗は別れてしまった。
柏原さんも自分のせいで父親のいない子になってしまった莉緒を不憫に思ったんだろう。
私はデスクに戻り、柏原さんに『LINE』を送信.


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