耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
「まだ軽すぎる———」

「え、」

美寧は目を(しばた)かせた。
突然抱え上げられた上に、出し抜けに怜が言った言葉が理解できない。

「もう少し食事の量を増やしましょうか」

「……前よりもたくさん食べれるようになったもん……」

美寧は、むぅっと頬を膨らませた。

恥ずかしい思いを我慢して、あんなに一生懸命自分の思ったことを口にしたのに、それをはぐらかされたのだ。
むくれると同時に、少し傷ついた。怜にとってはどうでもいいことだったのか、と———

けれどそれは一瞬にして覆される。

「細すぎるあなたを、壊してしまわないか心配になる———」

「えっ?」

「大丈夫、なんでしょう?」

「………」

怜が何のことを言っているのか分かるまでに時間を要したが、気付いた途端ハッとして、小さく頷く。

そんな美寧の頬に軽くくちづけると、怜は彼女を抱きかかえたまま、リビングを出て廊下を奥へと進んだ。

廊下の奥、突き当りにあるのは———怜の部屋

その部屋のドアノブに怜が手をかける。美寧は彼の首に回した腕にぎゅっと力を入れた。

その時、


———ピンポーン


来客を告げるチャイムが聞こえた。





【第九話 了】 第十話につづく。
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