耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
***
「え、———れいちゃん、今なんて………?」
フレンチトーストの最後の一切れをフォークにさしたまま、美寧は怜をまじまじと見つめた。
怜の作ってくれたフレンチトーストは、間違いない美味しさだった。
たっぷりのバターで焼かれたそれは、外側はカリッと、中はふわっとジューシー。
ほんのり焦げたバターの香りだけでも食欲をそそるのに十分なのに、その上から贅沢なほどたっぷりとはちみつをが掛けられるのを見た瞬間、美寧のお腹が「ぐ~」と音を立てた。
昨日までの食欲低下が嘘のように、夢中になってフレンチトーストを食べていた美寧。
そんな美寧に、怜は思わぬことを言った。
あっという間に二枚目を食べ終わろうとしていた、その直前だった。
「一度、家に戻ってみたらどうですか?」
さっきと一言一句違わぬ怜の台詞に、美寧は目を見開いたまま固まった。
「な、……んで………」
かろうじてそれだけ絞り出した美寧に、向かいから怜が言う。
「お兄さまが……聡臣さんが日本に帰って来られました。だから家に帰っても、あなたはもうひとりじゃない———」
美寧は両目をこぼれんばかりに見開いた。
「聡臣さんが言っていました。『やっと一緒に暮らせる』———と。あなたのことを『大事な家族』だ、と」
そう言った怜の表情はいつもと変わらない。まっすぐに美寧を見つめ、事実だけを坦々と口にする。
「彼は妹であるあなたのことをとても大事に想っています。だから実家に戻ったとしても、無理矢理どこかに嫁がされることもないでしょう。彼はあなたの味方だ」
怜が言っていることは美寧にも分かっている。
物心つく頃から別々に暮らしていた兄と一緒に暮らせる。兄のことが大好きな美寧にとってもそれは嬉しいこと。
だけど———
「え、———れいちゃん、今なんて………?」
フレンチトーストの最後の一切れをフォークにさしたまま、美寧は怜をまじまじと見つめた。
怜の作ってくれたフレンチトーストは、間違いない美味しさだった。
たっぷりのバターで焼かれたそれは、外側はカリッと、中はふわっとジューシー。
ほんのり焦げたバターの香りだけでも食欲をそそるのに十分なのに、その上から贅沢なほどたっぷりとはちみつをが掛けられるのを見た瞬間、美寧のお腹が「ぐ~」と音を立てた。
昨日までの食欲低下が嘘のように、夢中になってフレンチトーストを食べていた美寧。
そんな美寧に、怜は思わぬことを言った。
あっという間に二枚目を食べ終わろうとしていた、その直前だった。
「一度、家に戻ってみたらどうですか?」
さっきと一言一句違わぬ怜の台詞に、美寧は目を見開いたまま固まった。
「な、……んで………」
かろうじてそれだけ絞り出した美寧に、向かいから怜が言う。
「お兄さまが……聡臣さんが日本に帰って来られました。だから家に帰っても、あなたはもうひとりじゃない———」
美寧は両目をこぼれんばかりに見開いた。
「聡臣さんが言っていました。『やっと一緒に暮らせる』———と。あなたのことを『大事な家族』だ、と」
そう言った怜の表情はいつもと変わらない。まっすぐに美寧を見つめ、事実だけを坦々と口にする。
「彼は妹であるあなたのことをとても大事に想っています。だから実家に戻ったとしても、無理矢理どこかに嫁がされることもないでしょう。彼はあなたの味方だ」
怜が言っていることは美寧にも分かっている。
物心つく頃から別々に暮らしていた兄と一緒に暮らせる。兄のことが大好きな美寧にとってもそれは嬉しいこと。
だけど———