耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
自室に閉じこもった美寧は、部屋の片隅で膝を抱えてうずくまった。
胸が引き裂かれそうなほど痛んで、上げそうになる呻き声を必死に飲み込む。
昨夜眠る時からつい朝食まで、あんなに幸せな気持ちでいっぱいだったのに、と思うと余計につらくなった。
『一緒に寝たい』
そう言った美寧に怜は驚いた様子だったけれど、『分かりました』と了承してくれた。
そして怜は自分の部屋まで美寧を連れて行き、美寧をベッドに寝かせると、『寝る準備をしてきます』と言って部屋を出ていった。
歯磨きなどの消灯準備があるのだろう。美寧は黙って彼を見送った。
そして怜の香りの染み付いたベッドの中で彼を待つ間に、美寧は気がついたら眠ってしまっていたのだ。
目が覚めた時に隣に怜がいなくて、美寧が寝ているうちに黙ったまま出勤してしまったのかと焦ったけれど、それは美寧の勘違いで、彼は朝食の準備をしていただけだった。
フレンチトーストを食べる美寧を見つめる瞳は、いつもと変わらず優しく柔らかで、美寧は少しホッとしたのだ。
自分が感じていた“遠さ”は気のせいなのだ、と。
怜は仕事で忙しい時でも美寧のことを忘れたりしない、と。
時間の許す限り、美寧との時間を大事に想ってくれている、と。
冬の朝の冷え込みなんて気にならないほどの温かな食卓に、美寧は幸せを感じていた。
それなのに———
しばらくしてから襖の向こう側から「ミネ」と呼ぶ声が聞こえた。返事が出来ないでいる美寧に、怜は優しく呼びかけるように言った。
「今日は昨日と同じくらいには帰れると思います。帰ってきたらまたちゃんと話し合いましょう」
それだけ言うと、怜は「行ってきます」と言って、出勤していった。
顔も見ず、「いってらっしゃい」も言わずに怜を送り出したのは、ここに住むようになって初めてのことだった。
胸が引き裂かれそうなほど痛んで、上げそうになる呻き声を必死に飲み込む。
昨夜眠る時からつい朝食まで、あんなに幸せな気持ちでいっぱいだったのに、と思うと余計につらくなった。
『一緒に寝たい』
そう言った美寧に怜は驚いた様子だったけれど、『分かりました』と了承してくれた。
そして怜は自分の部屋まで美寧を連れて行き、美寧をベッドに寝かせると、『寝る準備をしてきます』と言って部屋を出ていった。
歯磨きなどの消灯準備があるのだろう。美寧は黙って彼を見送った。
そして怜の香りの染み付いたベッドの中で彼を待つ間に、美寧は気がついたら眠ってしまっていたのだ。
目が覚めた時に隣に怜がいなくて、美寧が寝ているうちに黙ったまま出勤してしまったのかと焦ったけれど、それは美寧の勘違いで、彼は朝食の準備をしていただけだった。
フレンチトーストを食べる美寧を見つめる瞳は、いつもと変わらず優しく柔らかで、美寧は少しホッとしたのだ。
自分が感じていた“遠さ”は気のせいなのだ、と。
怜は仕事で忙しい時でも美寧のことを忘れたりしない、と。
時間の許す限り、美寧との時間を大事に想ってくれている、と。
冬の朝の冷え込みなんて気にならないほどの温かな食卓に、美寧は幸せを感じていた。
それなのに———
しばらくしてから襖の向こう側から「ミネ」と呼ぶ声が聞こえた。返事が出来ないでいる美寧に、怜は優しく呼びかけるように言った。
「今日は昨日と同じくらいには帰れると思います。帰ってきたらまたちゃんと話し合いましょう」
それだけ言うと、怜は「行ってきます」と言って、出勤していった。
顔も見ず、「いってらっしゃい」も言わずに怜を送り出したのは、ここに住むようになって初めてのことだった。