耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
「やっ、……はなしてっ」
「美寧ちゃん———」
耳元で呼ばれ、ぞくっと背中に悪寒が走る。
強く抱きしめられた腕の中で、美寧が必死にもがいた。
怜の腕の中はあんなに心地良くて安心できるのに、どうして他の人だとそうはならないのだろうか。安心どころか気持ち悪くて怖くて堪らない。
ついさっきも同じようなことがあったけれど、それは見も知らぬ男だったからだと思っていた。けれど、良く知っているはずの颯介でも、同じように感じてしまう。
何とか離れようと、颯介の体を両手で押し返そうとするが、びくともしない。
両目に涙が溜まり、足が小刻みに震える。それでも美寧は負けるまいと、無我夢中で颯介の体を握りこぶしで叩いた。震える手に力は入らないけれど、それでも必死に抵抗する。
腕の中で暴れる美寧の両手首を、颯介が掴んで動きを封じた。
「美寧ちゃん……お願いだから、ちゃんと僕を見てよ———」
美寧の両手を掴んだまま懇願するように眉を寄せた颯介。
けれど、美寧はそんな彼の方を見もせず顔をそむけて叫んだ。
「はなしてっ、やだ―――れいちゃんっ!」
「っ、———」
颯介の手から逃れようと力いっぱい引く。掴まれていた右手が外れ、自由になった。
もう片方の手も思いきり引く。
が———
颯介の手が美寧の頬に触れ、強く上を向かされた。
息を呑む間もなく、美寧の唇が颯介のもので塞がれた。
【第十二話 了】 第十三話につづく。
「美寧ちゃん———」
耳元で呼ばれ、ぞくっと背中に悪寒が走る。
強く抱きしめられた腕の中で、美寧が必死にもがいた。
怜の腕の中はあんなに心地良くて安心できるのに、どうして他の人だとそうはならないのだろうか。安心どころか気持ち悪くて怖くて堪らない。
ついさっきも同じようなことがあったけれど、それは見も知らぬ男だったからだと思っていた。けれど、良く知っているはずの颯介でも、同じように感じてしまう。
何とか離れようと、颯介の体を両手で押し返そうとするが、びくともしない。
両目に涙が溜まり、足が小刻みに震える。それでも美寧は負けるまいと、無我夢中で颯介の体を握りこぶしで叩いた。震える手に力は入らないけれど、それでも必死に抵抗する。
腕の中で暴れる美寧の両手首を、颯介が掴んで動きを封じた。
「美寧ちゃん……お願いだから、ちゃんと僕を見てよ———」
美寧の両手を掴んだまま懇願するように眉を寄せた颯介。
けれど、美寧はそんな彼の方を見もせず顔をそむけて叫んだ。
「はなしてっ、やだ―――れいちゃんっ!」
「っ、———」
颯介の手から逃れようと力いっぱい引く。掴まれていた右手が外れ、自由になった。
もう片方の手も思いきり引く。
が———
颯介の手が美寧の頬に触れ、強く上を向かされた。
息を呑む間もなく、美寧の唇が颯介のもので塞がれた。
【第十二話 了】 第十三話につづく。