耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
美寧はハッと息をのんだ。
怜がそんな風に考えていたなんて知らなかった。
いや、知ろうとしなかったのだ。もしかしたら今朝、彼はその話をしようとしていたのかもしれない。そのことに、今になって気付く。
「だけどもし、それでも無理だとしたら………あなたと別れるくらいなら、いっそこのままあなたをさらって海の向こうへ逃げてもいい———」
美寧は反射的に、顔を上げた。
飛び込んで来たのは、苦しそうに眉を寄せる怜の顔で———
「それが出来るくらいの成果は上げている。実際、声をかけて貰っているところもある。あなたと離れられないのは俺の方なんだ………けれど、それだとあなたから家族を奪ってしまう。それは嫌だ。俺はあなたから何も奪いたくない」
まるで引き裂かれる痛みに耐えているような顔をしながら、怜は美寧の額に自分の額を合わせた。
そして、真っ赤な瞳で自分を見上げる恋人を見つめると、愛おしそうに目を眇め、言った。
「俺はあなたに……、美寧に、ひとつでも多くの幸福をあげたいんだ」
瞬間、美寧の双眸から、突然大粒の涙があふれ出た。
さっきまでどんなに辛くても涙が滲むことすらなかったのに、氷が解けて流れ出すように、美寧の凍っていた涙も今は次から次にとめどなくあふれ出す。
「……っく、……うっ……」
垂らしていた手を持ち上げ、怜のコートを握る。
次から次に溢れ出る涙が、頬を滑っては二人の間に落ちて吸い込まれていく。
怜がそんな風に考えていたなんて知らなかった。
いや、知ろうとしなかったのだ。もしかしたら今朝、彼はその話をしようとしていたのかもしれない。そのことに、今になって気付く。
「だけどもし、それでも無理だとしたら………あなたと別れるくらいなら、いっそこのままあなたをさらって海の向こうへ逃げてもいい———」
美寧は反射的に、顔を上げた。
飛び込んで来たのは、苦しそうに眉を寄せる怜の顔で———
「それが出来るくらいの成果は上げている。実際、声をかけて貰っているところもある。あなたと離れられないのは俺の方なんだ………けれど、それだとあなたから家族を奪ってしまう。それは嫌だ。俺はあなたから何も奪いたくない」
まるで引き裂かれる痛みに耐えているような顔をしながら、怜は美寧の額に自分の額を合わせた。
そして、真っ赤な瞳で自分を見上げる恋人を見つめると、愛おしそうに目を眇め、言った。
「俺はあなたに……、美寧に、ひとつでも多くの幸福をあげたいんだ」
瞬間、美寧の双眸から、突然大粒の涙があふれ出た。
さっきまでどんなに辛くても涙が滲むことすらなかったのに、氷が解けて流れ出すように、美寧の凍っていた涙も今は次から次にとめどなくあふれ出す。
「……っく、……うっ……」
垂らしていた手を持ち上げ、怜のコートを握る。
次から次に溢れ出る涙が、頬を滑っては二人の間に落ちて吸い込まれていく。