耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
「ごっ…めっ、……れいちゃ……、」
怜のコートを握りしめ、美寧は必死に言葉を紡ごうとする。
言いたいことは一つだけなのに、それが言葉にならない。言おうとすればするほど、涙と嗚咽がそれを邪魔してしまう。
「ご、っ、……う゛、う゛っ~~ご、め………う゛う゛ぅ゛~~~っ」
ぎゅっと閉じた瞳からどんどんあふれて落ちていく涙を拭いもせず、一生懸命にその言葉を言おうする。けれど、言葉にしようとすればするほど、口から出てくるのは慟哭だけ。
どうしても言わなければならない言葉がある。
言いたいのに涙に邪魔され、全然言葉にならなくて、もどかしさのあまり泣きながら顔を上げる。
「れっ、………ごっ、ご…え゛んっ……う゛え゛~~~っ」
頭の中にはその言葉が溢れているのに、それが喉を通ると意味不明の泣き声に変わる。
必死に言おうとすればするほど、声は嗚咽に変わる。言葉が涙になる。
『ごめんなさい』
たったその一言すら、きちんと言えないなんて。
そんな自分が腹立たしくて悔しくて、思うように行かなくてだだをこねる幼子のように、美寧はこぶしを作った両手で目の前の体を叩きながらわんわんと声を上げ泣きじゃくった。
雪の降るキンとした夜の冷気で冷えきっていた頬を、生温い涙がいくつも滑り落ちていく。
涙の跡は冷気で冷たくなるが、またその上から涙が滑っていく。熱いのか冷たいのかも分からないくらいに泣きじゃくる。
すると彼女の右頬が大きな手に包まれた。その手はいつもよりもひんやりとして。
「美寧———」
「れ゛っ、え゛~~ぅっく、ごえ゛、~~っ……」
「———すみませんでした」
「っ」
謝ろうとしている相手に先に謝られ、美寧は一瞬泣き声を飲み込んだ。はずみで「ひっく」としゃくりあげる。
「守ってあげられず、辛い思いをさせてしまって……本当にすみませんでした」
怜が何を言っているのか分からない。涙をぽろぽろとこぼしながら、美寧はじっと彼を見つめる。
「あなたが辛い時はそばにいると言っておきながら、肝心な時にそばにいられなくて———」
そう言って怜は濡れた美寧の頬をその手のひらで拭っていく。
怜にしては少し乱暴な手つきで、ぐいぐいと両頬をこすられて、美寧は思わずきゅっと目をつむる。すると、瞼の上に温かくて柔らかなものが押し当てられた。頬から手を離され、もう一度ぎゅっと強く抱きしめられる。
怜のコートを握りしめ、美寧は必死に言葉を紡ごうとする。
言いたいことは一つだけなのに、それが言葉にならない。言おうとすればするほど、涙と嗚咽がそれを邪魔してしまう。
「ご、っ、……う゛、う゛っ~~ご、め………う゛う゛ぅ゛~~~っ」
ぎゅっと閉じた瞳からどんどんあふれて落ちていく涙を拭いもせず、一生懸命にその言葉を言おうする。けれど、言葉にしようとすればするほど、口から出てくるのは慟哭だけ。
どうしても言わなければならない言葉がある。
言いたいのに涙に邪魔され、全然言葉にならなくて、もどかしさのあまり泣きながら顔を上げる。
「れっ、………ごっ、ご…え゛んっ……う゛え゛~~~っ」
頭の中にはその言葉が溢れているのに、それが喉を通ると意味不明の泣き声に変わる。
必死に言おうとすればするほど、声は嗚咽に変わる。言葉が涙になる。
『ごめんなさい』
たったその一言すら、きちんと言えないなんて。
そんな自分が腹立たしくて悔しくて、思うように行かなくてだだをこねる幼子のように、美寧はこぶしを作った両手で目の前の体を叩きながらわんわんと声を上げ泣きじゃくった。
雪の降るキンとした夜の冷気で冷えきっていた頬を、生温い涙がいくつも滑り落ちていく。
涙の跡は冷気で冷たくなるが、またその上から涙が滑っていく。熱いのか冷たいのかも分からないくらいに泣きじゃくる。
すると彼女の右頬が大きな手に包まれた。その手はいつもよりもひんやりとして。
「美寧———」
「れ゛っ、え゛~~ぅっく、ごえ゛、~~っ……」
「———すみませんでした」
「っ」
謝ろうとしている相手に先に謝られ、美寧は一瞬泣き声を飲み込んだ。はずみで「ひっく」としゃくりあげる。
「守ってあげられず、辛い思いをさせてしまって……本当にすみませんでした」
怜が何を言っているのか分からない。涙をぽろぽろとこぼしながら、美寧はじっと彼を見つめる。
「あなたが辛い時はそばにいると言っておきながら、肝心な時にそばにいられなくて———」
そう言って怜は濡れた美寧の頬をその手のひらで拭っていく。
怜にしては少し乱暴な手つきで、ぐいぐいと両頬をこすられて、美寧は思わずきゅっと目をつむる。すると、瞼の上に温かくて柔らかなものが押し当てられた。頬から手を離され、もう一度ぎゅっと強く抱きしめられる。