耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
父と歌寿子の話を合わせると、祖父の遺した遺書の中に、『遺言者は、遺言者の所有する下記の財産を、遺言者の孫である当麻美寧に相続させる』とあった。その『下記の財産』には、祖父の家の家屋と土地が記載されていた、という。
それを、父が弁護士を通して相続の手続きをしたらしい。
『どうしてもっと早く教えて下さらなかったのですか!?』と詰め寄る美寧に、父は言いづらそうにしながら言った。
『すぐに教えたら、おまえはすぐにまたあの家に戻っていただろう?』
『なっ、……そんなことは………』
否定する台詞を言おうとしたが、あの頃の自分ならもしかしたら祖父の家に戻っていたかもしれない。どうせ一人ぼっちなら、慣れた家の方がいい、と。
『どうせおまえは、一年後にはお祖父さまの決めた相手と結婚して、あの家に住むことになる。それなら、今くらいは一緒にいて欲しいと思ってしまったのだ………』
そして、『黙っていて悪かった』と父は美寧に謝った。
美寧が最初に祖父の鉄門の鍵が開いたのは、表札の下にある“指紋認証システム”。美寧の指紋が鍵になっているらしい。そして、指紋認証は父と兄以外にも、この家の管理を任されている歌寿子も登録してあるという。
そして、解錠されると歌寿子の携帯にメールで連絡が入るようになっている。
その為、美寧が鍵を開けて祖父の家に入ったことを歌寿子が知り、父総一郎に連絡を入れた、というわけだ。
すべての種明かしをされ、美寧はしばらく絶句していた。
そしてふと気づいた。だから自分の部屋はそのままで、掃除が行き届いていたし、布団もきちんと季節の物が用意されてあったのだ、と。
目を丸くしたまま固まっている美寧に、歌寿子が『そやから、いとさん。これからはいつでもお好きな時に帰ってきとくなはれよ。藤波はんもご一緒に』と言った。
それを、父が弁護士を通して相続の手続きをしたらしい。
『どうしてもっと早く教えて下さらなかったのですか!?』と詰め寄る美寧に、父は言いづらそうにしながら言った。
『すぐに教えたら、おまえはすぐにまたあの家に戻っていただろう?』
『なっ、……そんなことは………』
否定する台詞を言おうとしたが、あの頃の自分ならもしかしたら祖父の家に戻っていたかもしれない。どうせ一人ぼっちなら、慣れた家の方がいい、と。
『どうせおまえは、一年後にはお祖父さまの決めた相手と結婚して、あの家に住むことになる。それなら、今くらいは一緒にいて欲しいと思ってしまったのだ………』
そして、『黙っていて悪かった』と父は美寧に謝った。
美寧が最初に祖父の鉄門の鍵が開いたのは、表札の下にある“指紋認証システム”。美寧の指紋が鍵になっているらしい。そして、指紋認証は父と兄以外にも、この家の管理を任されている歌寿子も登録してあるという。
そして、解錠されると歌寿子の携帯にメールで連絡が入るようになっている。
その為、美寧が鍵を開けて祖父の家に入ったことを歌寿子が知り、父総一郎に連絡を入れた、というわけだ。
すべての種明かしをされ、美寧はしばらく絶句していた。
そしてふと気づいた。だから自分の部屋はそのままで、掃除が行き届いていたし、布団もきちんと季節の物が用意されてあったのだ、と。
目を丸くしたまま固まっている美寧に、歌寿子が『そやから、いとさん。これからはいつでもお好きな時に帰ってきとくなはれよ。藤波はんもご一緒に』と言った。