耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
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パンジーを写生してザっと着色をしたところで顔を上げる。
ふぅと息をつきながら背中を伸ばすと、固まっていた背筋が伸びて気持ち良かった。思ったよりも時間が経っていたようで、太陽が随分高くなっている。
細かい仕上げは帰ってからだ。
百本の色鉛筆を持ち歩くのは意外と重たいことを知っているので、いつも大体のところまで描けたら、あとは家で仕上げをすることにしている。
美寧は、少し早いけど持ってきたお弁当を食べながら休憩しようと思った。
過ごしやすい季節を楽しもうと、同じように公園でお弁当を広げる親子連れやベンチで昼寝をする人もいて、なかなかお弁当を広げるのにちょうど良い場所が見つからない。
(うーん、お腹ぺこぺこってほどじゃないから、お弁当はもう少し後にしようかな)
アラカシの木陰に入って水筒のお茶を飲みながら、美寧はそう考えた。
水分補給と帽子は絶対忘れない。以前熱中症になりかける失敗をしてから、美寧はそれに気を付けてるようになった。
水筒を帆布バッグにしまい、木陰から出る。
公園を来た方とは逆側に歩いて行く。散策しながらなので、真っ直ぐではない。公園の反対側の入り口の手前まで来た。あそこから出ると、商店街の前の道に出る。怜も美寧も通勤に使う経路だ。
少し戻ってため池の近くに咲いていた曼殊沙華を見に行ってみようかと思った時、前からよく知った顔がやってきた。
「マスター!」
「おお、美寧」
サッと片手を上げたマスターがこちらに向かってやってくる。美寧も小走りで近寄った。
彼は美寧がアルバイトをする【カフェ ラプワール】のマスターだ。
【ラプワール】は商店街の一番端にある昔ながらの喫茶店で、コーヒーの味はもちろん、彼が作る軽食やスイーツもとても美味しい。
そしてなにより、店主の人柄がにじみ出たような温もりある落ち着いた雰囲気が、訪れるお客を喜ばせていた。
パンジーを写生してザっと着色をしたところで顔を上げる。
ふぅと息をつきながら背中を伸ばすと、固まっていた背筋が伸びて気持ち良かった。思ったよりも時間が経っていたようで、太陽が随分高くなっている。
細かい仕上げは帰ってからだ。
百本の色鉛筆を持ち歩くのは意外と重たいことを知っているので、いつも大体のところまで描けたら、あとは家で仕上げをすることにしている。
美寧は、少し早いけど持ってきたお弁当を食べながら休憩しようと思った。
過ごしやすい季節を楽しもうと、同じように公園でお弁当を広げる親子連れやベンチで昼寝をする人もいて、なかなかお弁当を広げるのにちょうど良い場所が見つからない。
(うーん、お腹ぺこぺこってほどじゃないから、お弁当はもう少し後にしようかな)
アラカシの木陰に入って水筒のお茶を飲みながら、美寧はそう考えた。
水分補給と帽子は絶対忘れない。以前熱中症になりかける失敗をしてから、美寧はそれに気を付けてるようになった。
水筒を帆布バッグにしまい、木陰から出る。
公園を来た方とは逆側に歩いて行く。散策しながらなので、真っ直ぐではない。公園の反対側の入り口の手前まで来た。あそこから出ると、商店街の前の道に出る。怜も美寧も通勤に使う経路だ。
少し戻ってため池の近くに咲いていた曼殊沙華を見に行ってみようかと思った時、前からよく知った顔がやってきた。
「マスター!」
「おお、美寧」
サッと片手を上げたマスターがこちらに向かってやってくる。美寧も小走りで近寄った。
彼は美寧がアルバイトをする【カフェ ラプワール】のマスターだ。
【ラプワール】は商店街の一番端にある昔ながらの喫茶店で、コーヒーの味はもちろん、彼が作る軽食やスイーツもとても美味しい。
そしてなにより、店主の人柄がにじみ出たような温もりある落ち着いた雰囲気が、訪れるお客を喜ばせていた。