耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
「アンジュちゃんって言うんですか?この子」

「はい。フラットコーテット・レトリバーという犬種の女の子なんです」

「フラットコーテット・レトリバーかぁ~」

似ていると思ったら、ラブラドールやゴールデンと同じレトリバーだったようだ。

「触っても良いですか?」

「もちろんです。アンジュも喜びます」

飼い主の許可を貰った美寧は、喜んでアンジュの毛並みを撫でた。

「うわ~もふもふ(・・・・)だ~気持ちいい~かわいい~~」

大喜びでアンジュを撫でる美寧の横で、怜と女性は話を続ける。

「良かったらこちらも貰ってください。風が大分冷たくなってきました。炭酸水ばかりだと体が冷えるでしょう」

そう言って、ホットレモンのペットボトルも差し出した。

「何から何まで、本当にすみません……アンジュを連れて久々にここまで出かけてきたのですが、安定期に入ったからって油断してたんです。………でも、よくご存じですね、つわりで気持ち悪い時に炭酸水がいいって」

「たまたま、前に友人が言っていたのを思い出したので。それと、水分が不足するとつわりが起こりやすい方もいらっしゃると聞いたことも」

「そうだったんですか……なんにしても本当に助かりました」

「もう大丈夫ですか?大分暗くなっていますし、よろしければ送って行きますよ?」

「ありがとうございます。でも、きっともうすぐ、」

彼女がそう言ったちょうどその時。
噴水の向こう側から、男性の声がした。
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