耽溺愛2-クールな准教授と暮らしていますー
「あんず入りのパンナコッタ。良かったら、あいつと一緒に食べてくれ」

「はい!ありがとうございます!」

万歳をする勢いで喜ぶ美寧に、マスターは瞳を細める。

「お嬢さんにも、ありがとうございますと、お伝えくださいね」

保冷バッグを抱えて、にこにこしながらそう言った美寧に、マスターは「そういえば」と何か思い出した顔をした。

「その娘だが、来月になったら、数日間こっちに帰ってくるんだ」

「え!そうなんですか?」

「ああ。旦那が海外出張でしばらく留守なんだと。妊婦だし、家に一人で置いておくは心配だからって、旦那の方から『留守の間よろしくお願いします』って連絡が入ったんだ」

愛娘が帰っているのがよほど嬉しいのか、マスターは相好を崩している。

「まあ、あいつも仕事があるからずっとこっちにいるわけではないんだがな」

「お嬢さん、お仕事されてるんですね」

「ああ、図書館司書なんだ」

「司書さんかぁ。カッコイイですね」

「そうか?あいつは昔っから本の虫だったからな。まぁ、そう言う訳で、ラプワールにも顔を出すだろうから、その時はよろしくな」

「はい!」

マスターが溺愛するお嬢さんに会えるのが楽しみだと思いながら、美寧は笑顔で頷いたのだった。


マスターから保冷バッグを受け取って、戻っていくマスターの背中を見送りながら、美寧の頭にある考えが閃いた。

それは、とても名案だと思った。


———その時は。



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