偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
「夏原社長、お会いできてよかったです。
では、失礼します」
「うん、僕も嬉しかった。
さっきの話、本気だからな。
考えておいてくれ」
あたまを下げ、さらに私の手を引っ張る彼に着いていく。
「さっきの話って、なんだ?」
「えっと……」
真っ直ぐに前を見たまま、彼は問うてきた。
「なんの話をしてたんだ、俺に断りもなく男とふたりで」
紹介したい人がいる、なんて言っていたのに彼は人々の間を縫って進み、とうとうラウンジを出てしまった。
「別に……。
会社にいた頃の話をしていただけですよ」
なんとなく、戻ってこいと言われたことは誤魔化した。
やましいことがあるわけじゃないが、彼を怒らせそうな気がしたから。
いや、再就職が決まったと話したらきっと反対されるだろうと予想はしていたが、これはそれ以外の理由で彼が怒りそうな気がするのだ。
では、失礼します」
「うん、僕も嬉しかった。
さっきの話、本気だからな。
考えておいてくれ」
あたまを下げ、さらに私の手を引っ張る彼に着いていく。
「さっきの話って、なんだ?」
「えっと……」
真っ直ぐに前を見たまま、彼は問うてきた。
「なんの話をしてたんだ、俺に断りもなく男とふたりで」
紹介したい人がいる、なんて言っていたのに彼は人々の間を縫って進み、とうとうラウンジを出てしまった。
「別に……。
会社にいた頃の話をしていただけですよ」
なんとなく、戻ってこいと言われたことは誤魔化した。
やましいことがあるわけじゃないが、彼を怒らせそうな気がしたから。
いや、再就職が決まったと話したらきっと反対されるだろうと予想はしていたが、これはそれ以外の理由で彼が怒りそうな気がするのだ。