偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
最終章 私は一生、あなたのもの
「御津川様、どうぞ」

受付を済ませたら、そのままスムーズに診察室へ案内された。
そもそも待合室にはよくある大病院のように、ひしめきあって待っている患者すらいない。

「どうぞ」

「しつれいしまーす……」

勧められて椅子に座る。
まさか、診察室まで特別仕様とかないよね? なんて思っていただけに、普通で返ってほっとした。

「それで、今日は……」

「ええっと……」

今日、私がヒルズにある病院に来たのには理由がある。
いや、自分でやろうと思ったらできることなのだけれど、……やっぱり、怖くて。
なんだかんだいってあれは、ちょっとトラウマになってるんじゃない? とか御津川氏を恨んでしまった。

「ありがとう、ございましたー」

処置が終わり、病院をあとにする。

「気づいて、くれるかなー」
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