偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
箱を開けた彼は、中身と私の間に視線を何往復かさせた。

「そろそろ、セカンドピアスに変えられそうだって言っていたので……」

私の処女を奪って痛い思いをさせた代わり、とか言って私にピアスを開けさせてからもう、ひと月半ほどが過ぎようとしている。
本当はもう少しだけ早く渡せたのだが、思いついたことがあってそれから一週間ほど伸びた。

「ありがとう、李亜!
マジで嬉しい!!」

「えっ、ちょっ!」

再び抱きついてきた彼が、熱烈に顔中に口付けの雨を降らす。
苦笑いでそれを受けながら、まんざらでもなかった。

「どうだ?」

さっそく、付け替えた彼が私に耳を見せてくる。
シルバーのサークルにブリリアントカットのダイヤが埋め込まれた小粒のピアスは、控えめに彼の耳で光っていてよく似合っていた。

「似合ってます」
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