偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
「本当か?
鏡、鏡」

大慌てで鏡を見にいった彼にはもう、笑ってしまう。

「ありがとう、李亜。
こんなに嬉しいことはない」

戻ってきた彼からまた、むちゅーと思いっきりキスされた。
それはいい、それはいいがもうひとつ、気づいてほしいことがあるのだ。

「喜んでもらえたならよかったです」

さりげなく耳に髪をかける。
視線を、そこに向けるように。

「……ん?」

ようやく気づいたのか、彼の指先が私の耳たぶに触れた。

「これ、どうしたんだ……?」

「御津川さんとお揃い、……です」

こんなことを言うのは顔が熱を持っていく。
彼にピアスをプレゼントしようと買いに行き、考えたのだ。

……もし、私がお揃いのピアスをしたらどう思うだろう、って。
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