偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
「仕事の話なら無しだ。
ごちそうさま、もう行く」

まだ食事は途中だというのに、彼はジャケットを羽織って出ていった。

「……はぁーっ」

ため息をつき、残りをもそもそと食べる。

「好きなおかずにしたんだけどなー」

だし巻き玉子も、なめこのお味噌汁も、切り干し大根だって彼の好きなものだ。
でも、そのほとんどが手つかずで残っている。

「まあ、朝は忙しいもんね。
夜に、もうワンチャン」

まだ、諦めたわけじゃない。
なにがダメなのか、どうしたらいいのか。
分析と対策は得意なのだ。
今日一日、問題点を徹底的に洗いだしてやる。

……なんて決心したのは四時間ほど前。
なんで私は、純さんとランチなんかしているんだろう?

「お口にあわなかったかしら?」
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