偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
「わかりました。
ぜひに、とお返事を」

……と、いうわけで私は、レジデンスの最上階、東峰さんのお宅でランチをしている。

「今日、閑さんは……?」

「大学に行ってるわ。
ああ見えて院生なの、あの人」

興味なさそうに純さんはパクパクと食事を続けていた。
閑さんがいないんならまだ、大丈夫なんだろうか。
ちなみに、彼とはあの初めてラウンジへ行った日以来、会っていない。
もしかしたら彼が来そうにない日を狙って御津川氏は私を連れていっていたのかもしれないけど。

一方的に純さんが話して食事は続いていく。

「あなた、FoSでけっこう、鳴らしていたらしいじゃない。
鉄壁の女って、一部では話題になってたわよ」

ふふん、と少し小馬鹿にしたように純さんが笑う。

「そう、ですね」

その名は賞賛三割、やっかみ七割で呼ばれていただけに、複雑な思いだ。
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