偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
「その鉄壁の女がなんで、おとなしく専業主婦になんて収まってるのよ」

「それは……」

それこそ、私が知りたい。
どうして御津川氏が、あんなに私が働くことに反対しているのか。

「いままで培ってきたものを、こんなことで捨てていいの? あなた、そんな軽い気持ちで仕事をしてきたの?」

「違います!」

あそこで働いていたのは私の誇りだ。
だからこそ、半ば見栄で辞めたことを後悔した。

「なら、戻ればいいじゃない。
夏原社長からも誘われてるんでしょ?」

「どうして、それを……」

純さんが知っているんだろう?

戻れるなら戻りたい。
けれど御津川氏からは反対されている。
よほどのことがない限り、彼は許してくれないだろう。
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