偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
エピローグ 年の差37歳
その日は帰国した純さんが連絡無しに押しかけてきて、仕方なく自宅でランチ会をしていた。

「ねぇ。
慧護は諦めるから、(たすく)ちょうだい?」

「……は?」

純さんの言葉で、食事の手が止まる。
救とはつい半年ほど前に生まれた、息子の名前だ。

「だって貴方、いつまでたっても慧護を私にくれないし?
慧護も私じゃ嫌だって言うし。
なら、救でいいから、救ちょうだい?」

「……は?」

何度言われようと、わからないものはわからない。
いや、わからないというよりも、あたまが理解することを拒否していた。

「なにわけわからんこと言ってるんだ、純」

おしめを替え終わった慧護が、救を抱いてきた。
受け取って、彼に食事を再開してもらう。

「第一、救はまだ、六ヶ月だ」
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