偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
「……ひとつ、確認しても?」

「なんだ?」

レンズ越しに彼の瞳を見つめる。
その瞳には全く揺らぎがなかった。

「どうして私、なのですか。
私にそんな価値があるとは思えません」

「お前の価値は俺が決める。
俺から見てお前にはそれだけの価値がある。
それだけだ」

答えになっていない気がするが、彼には全く迷いがない。

「いますぐ七百万、耳をそろえて返すか、俺の女になるか。
お前に選べるのはこのどちらかしかない」

どうして今日はこう、重要な決断ばかり迫られるのだろう。
初めの選択が間違っていた気がするが、いまからやり直せるわけでもない。

「俺の女になれ、李亜」

彼の、強い視線が私を射る。
一ミクロンも目は逸らせずに少しの間、見つめあった。
気持ちを落ち着けようと目を閉じ、一度深呼吸する。
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