偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
「女は、度胸」

目を開け、一口飲んだだけで残っていたアプリコットフィズを、景気づけに一気に飲み干した。

「わかりました、あなたに従います」

「そうこなくっちゃ」

ニヤリ、と御津川氏が右頬を歪ませた。

その後、砺波さんが契約内容の説明をしてくれた。
さすがに人身売買は法律違反になるので、そこはぼやかして書いている。
私にとって重要なのは、御津川氏の許可なく彼の元を離れた場合は、七百万の即時返済に加え、多額の違約金が課せられるということだ。

「これで李亜は俺のものだ」

私がしたサインを確認し、御津川氏が満足げに笑う。

「こっちにもサインしろ」

次にテーブルの上へ置かれたのは――婚姻届だった。

「あの、これは……?」

「さっきの話を聞いてなかったのか?
李亜は俺のものだ。
当たり前だろ」
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