偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
第2章 理想の新婚生活
朝、目が覚めたら、隣で御津川氏が眠っていた。

……夢、じゃなかったんだ。

婚約者が実は結婚詐欺師で式当日に逮捕されたとか。
替え玉花婿で式を挙げたとか。
さらに金で買われて処女を奪われただとか。
どう考えても現実ではない。
でもそれは御津川氏という形でいま、私の隣に確かに存在している。

「……起きたのか」

目を開けた御津川氏は起き上がり、私へちゅっ、と――キス、した。

「……は?」

「シャワー浴びてくるかなー」

ベッドの下から拾った下着を穿き、彼が布団を出る。

「李亜も一緒にどうだ?」

ドアに手をかけ、彼が振り返ったところで我に返った。

「お断りです!」

反射的に枕を掴み、投げつける。
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