偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
どおりで、鈴木と買ったものとは違うわけだ。
まあもし、鈴木と買ったものならきっと、叩き捨てていただろうけど。

「李亜を飾るものはすべて、俺が買う。
すべて、だ」

妙に強調する彼の左手薬指にも、お揃いの指環が嵌まっている。

「はぁ……」

「まあいい。
さっさと出かけるぞ」

「えっ、あっ!」

どういう意味か計りかねている私を無視し、彼は強引に手を掴んだ。

ホテルを出たあとは、街へ連れ出された。

「服買うぞ、服。
あと下着もだな。
あんなサイズのあわないものをつけていたらダメだ」

「はぁ……」

御津川氏は運転時、眼鏡をサングラスに変えた。
それが鈴木なんかよりも断然格好良くて、なんか悔しい。
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