偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
「ま、いっか。
また買えば。
すぐに夏物も必要になるしなー。
あ、パーティ用のドレスもオーダーしておかないとな」

私の顔を見て、にかっと彼が笑う。
それはとても爽やかだけど、私はお腹いっぱいで箸を置いた。

「……あの」

「なんだ?」

出てきたヒラメの握りを無造作に、ぽいと彼が口に放り込む。

「必要以上にいろいろ買っていただく必要はないので。
それじゃなくても私は、七百万の……」

「ああもう、うるさいな!」

「……!」

いきなり、むぎゅっと頬を握り潰された。

「にゃ、にゃにする……」

「買われようとなんだろうと、李亜は俺の妻なの。
妻に夫が、プレゼントしてなにが悪い?」

「……」

レンズ越しに彼が私を見つめている。
その瞳は確実に怒っていた。
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