偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
「あとで李亜も登録しとかないとな」

ドアは全部、手をかざすだけで開いた。
生体認証なのらしい。

「ここが俺の家」

通されたリビングは私が昨日まで住んでいたマンションの全部屋分くらいあった。

「……広いですね」

「そうか?
この部屋はこのレジデンスの中でも狭い方だぞ」

なんでもないように御津川氏は言っているが、……じゃあ、普通の部屋ってどのくらいあるんだろう。
なんて、考えちゃダメよ、李亜。

茶系で揃えられた室内は、とても落ち着いていた。
ダイニングテーブルの上にはお洒落なシャンデリアまで下がっている。

「コーヒーでも飲むか」

「そう、ですね……」

そっと、ダークブラウンのソファーに腰を下ろす。
その前に置かれているテレビは、電気店の目玉でしか見たことがないような大きなサイズだった。
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