偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
洗顔を済ませてリビングへ行けば、ダイニングテーブルで彼はコーヒーを飲んでいた。

「おはよう。
コーヒー飲むか?」

私に気づき、目を落としていたタブレットを置いて椅子から立ち上がる。

「おはようございます」

「ん」

彼がコーヒーを置いた席に座る。

「ありがとうございます」

再び彼も向かいあう椅子に腰をかけた。

「俺は仕事に行ってくるが、昨日言ったように李亜は好きにしたらいい」

「わかりました」

起き抜けのコーヒーは美味しい。
が、朝ごはんは?

「どこに行こうと勝手だが、ひとつだけ。
……レジデンスの最上階にだけは絶対に行くな」
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