偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
あのときは本当に幸せで、これからの結婚生活を思い描いていたのだ。
それが、こんなことになるなんて。

「ああもう、考えない!」

暗い過去を振り切るように、乱暴にサーモンサンドに噛みついた。

軽く小腹を満たし、そろそろ開いたスーパーへと向かう。
御津川氏はいつも外食と言っていたし、家で朝食を取らない人間なのかもしれない。
けれど私は家でゆっくり食べたいのだ。

「うそっ、タマネギ1個200円!?」

値段を見て思わす声が出てしまい、恥ずかしくなった。

「……さすが、セレブの街」

農家ご自慢の有機栽培、高いのはわかる。
けれど私の常識では、タマネギは高いときで3玉198円だ。

その後も、いちいちプライスカードを見ては驚きつつ、びくびくと買い物をした。
お昼ごはんにお弁当と見にきたお惣菜コーナー……もとい。
デリカコーナーもやはり。
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