偽りの花婿は花嫁に真の愛を誓う
「お届けいたしますか?」

テキパキと店員が、袋へと商品を詰めてくれる。

「あ、えっと……。
お願い、します」

調味料なども買ってそれなりの重さになっているそれを、すぐ近くとはいえ抱えて帰るのは大変だな、なんて考えていたから素直にお願いした。

「あ、でも、お弁当は持って帰ります」

「かしこまりました」

手早く店員はお弁当だけ別に入れ、渡してくれた。

「ではこちらはのちほど、お宅の方へお届けさせていただきます。
またのお越しを、お待ちしております」

「あ、ありがとうございました……」

慇懃にあたまを下げる店員に見送られ、店を出る。

「……さすが、セレブスーパー」

配達は大手スーパーなんかでは最近やっているが、こちらから言わなくてもやってくれるなんて驚きだ。
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