オフィスラブはじまってました
 海岸線沿いを走っていると、ところどころ、ぽこぽこと丸い島が見える。

 平和な光景だなあ、と思いながら、ひなとは、ぼんやり眺めていた。

 途中、片側一車線になったのだが。

 前の車がずいぶんとスローな車で、柚月はかなりスピードを落として走っていた。

 前を走っているのは、古い型の灰色のセダンで、何故か四方八方に高齢者マークを貼っている。

「俺は危険な男だぜってことなんですかね?」
とひなとは呟いた。

 これだけ貼りまくってあったら、こちらが気をつけて差し上げないといけない感じだ。

「大丈夫ですか?
 少し避けて、距離空けます?」
とひなとは訊いた。

 スロー過ぎて、柚月が運転しづらそうだったからだ。

「いや、もうすぐ高速に乗るから、分かれるだろう。
 大丈夫だ」
と柚月は言った。

 いや、もしかしたら、このおじいさんか、おばあさんも、このまま高速に乗るかもしれませんけどね、と思いながら、ひなとは少し笑って、柚月に言った。

「……柚月さんってオラオラじゃないですよね」

「なんだ、オラオラって……」
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