オフィスラブはじまってました




 朝食は和やかに進み、智幸と柚月も結構話していた。

 どうしよう。
 柚月さんに一言謝るべきかな。

 私のお婿さん扱いとか申し訳ないよね、と思っている間に食事が終わり、

「柚月さん、洗面所、こっちです」
とひなとは柚月を洗面所に連れていく。

 自分は一旦、出て行こうとしたのだが、柚月が言ってきた。

「昨夜、お前の夢を見たんだ」

 どきりとしながら振り向くと、お客様用の使い捨て歯ブラシセットを開けながら、柚月が言う。

「月の光に照らされて、寝袋に入ったハムスターが気持ちよさそうに寝てた」

 それ、私の夢じゃなくて、ハムスターの夢ですよね……と思いながら、

「そうですか」
と言って、ひなとは洗面所を出た。
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