オフィスラブはじまってました
「じゃあ、柚月さん。
皆さんによろしくね。
ありがとう」
とみんなに見送られ、ひなとたちは畑のファントムの前にいた。
「こちらこそ、ありがとうございました」
と頭を下げた柚月に、秀治がスチール製のミリタリーグリーンの工具箱を突き出す。
「昨日、話してた釣り道具。
これが俺が今、お前にやれる物の中から厳選したやつだ」
「あっ、ありがとうございますっ」
とカメラのワニから柚月はそれを押しいただく。
いやあの、それを持ち帰ったがために、うちのアパートでキャンプブームにつづく、釣りブームが起こって巻き込まれたりしませんかね?
キャンプと釣り、相性が良さそうだしな、とひなとは苦笑いして、その授与式を見つめていた。