オフィスラブはじまってました




 そのまま宴会がはじまり、案の定、釣り道具にみな、興味を示しはじめた。

 緒方など、
「よし、今から夜釣りに行くか」
と言い出す。

 いやあの、そもそも、釣竿がないですし。

 明日、月曜なんですけど……。

 ヤバイ。
 この変に行動力がある人たち、このまま本当に行きそうだ、とビールのコップを手に、ひなとは怯える。

 そして、この人だけは興味を示さないでくれるかと思っていたインドアな入野まで、
「次は釣りの話を書こうかな」
と言いながら、キラキラした綺麗な色の擬似餌(ぎじえ)を月にかざして眺めはじめた。

「あ、あの……、

 そういえば、このアパート、もう一部屋ありますよね?
 誰が住んでるんですか?」
とひなとは話題をかえようとして言う。
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