オフィスラブはじまってました



 ひなとを見てると、なにか与えたくなるんだよな、と思いながら、柚月は食後、ロビーでひなとたちと珈琲を飲んでいた。

 なにか与えると、ちゅう、とか言って、喜びそうだからかな。

 ……いや、ハムスター、ちゅうって鳴くんだったか?
と思いながら、合流した秘書の荘田瑠美子(しょうだ るみこ)たちと笑って話しているひなとを見る。 

「へえ、あんたのおばあちゃんって、お茶の先生なの。
 じゃあ、あんたもお茶習ってたの?」
と瑠美子に訊かれたひなとは、

「いえいえ。
 それがおばあちゃんちまで、ちょっと距離があるものですから。

 たまに行って飲むくらいはありましたけど。
 自分で点《た》てたりとかは、あんまり。

 学校で、伝統文化を体験しようみたいな授業がありまして。
 お茶はそのとき、習ったくらいですかね」
と答えていた。

「意外とそんなものなのかもね」
とひなとの同期の真希子が笑う。

「その伝統文化の授業、お茶の他に、お花もやってたんですよ」
とひなとが言うと、瑠美子が、

「男子も?」
と訊く。
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