オフィスラブはじまってました
 柚月の手が、ちょっとひなとの背に触れたのだが。

 柚月は、まるで火の中に手を突っ込んだみたいに、慌ててその手を引いて、冷ますように振っていた。

 なんですか……。
 人をばっちいものみたいに、と思ったのだが。

 柚月は何故だか、赤くなっている。

「い、いいから入れっ。
 っていうか、恨みがましく俺を見るなっ。

 いや、本当に、すまなかったっ。
 だからもう、家に入ってくれっ」

 勘弁してくれと、なにを勘弁したらいいのかわからないが、柚月は懇願してくる。
< 494 / 576 >

この作品をシェア

pagetop