オフィスラブはじまってました
「檜村部長、よくあんたが見てないときに、あんたの方見てるわよ。
 微笑ましげに」

 それは滑車を回しているハムスターを微笑ましげに見るのと同じ感じでは……と思いながら、ひなとは言った。

「でもあの、私、柚月さんになにも言われてないんですけど」

 惟子は眉をひそめ、
「そうなの?」
と言ったあとで、

「じゃあ、プロポーズしなさいよ、自分から」
と言い出す。

「今の時代、女も待ってるだけじゃ駄目よ。
 送れた? 瑠美子」

「ばっちりよっ」
と瑠美子は満足げにスマホを置いた。

「ほらっ。
 早くしないと、六月中に結婚できないわよっ」
と三人に急かされる。

 ……いや、落ち着いてください、と思いながらも、瑠美子が言ったことが気になり、ひなとはチラと柚月の方を見てみた。
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