オフィスラブはじまってました
「いやー、水橋さんより先に、ハッピーエンド荘に住んでない人たちがまずハッピーになりそうですよね」
とひなとは笑う。

 ハッピーといえば、とひなとは神棚代わりに、小さな冷蔵庫の上に載せていた宝くじをゴソゴソと出してくる。

「今度こそ!」
と呟き、二人の寝袋の間に置いた宝くじに祈りを捧げた。

「お前……、当たって、此処、出て行きたくないから、宝くじは買わないとか言ってなかったか?」
と柚月は言うが。

 この間、一等五十万のスクラッチすら外れてしまったことで、火がついてしまったのだ。

「此処らで、ハッピーエンド荘の魔力を見せてもらいましょうか」

 ひなとは怪しい祈りを込め、五枚しか買っていない宝くじを拝んだ。

「いや、そもそも、何故、五枚だ?」
とそれを見ながら、柚月が訊いてくる。
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